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高橋敏著 『江戸の訴訟』

ここは読みやすい岩波書店の本書の紹介を引用させていただきます。

高橋敏著 『江戸の訴訟』
「嘉永2年(1849),とある村で1人の無宿人が殺された.勘定奉行までが乗り出す大事件に巻き込まれ,裁判に奔走する村名主.その活躍を通して見える幕末期江戸の姿とは? 暗躍する用人たち,官官接待の実際など,名主が残した日記や多くの周辺資料を駆使して,当時の社会の仕組みや,その中でうごめく人々の様態を活写する.」(岩波書店)

率直な感想は「なんて読みこみづらい」というものでした。星5つ中2くらいです(笑)しかしそれは私が本書に一方的な文学性みたいなものを求めていたからです。まさかの叙述、というか研究みたいな内容だったということで上述の評価を下したのです。

それはさておき、一般的には「厳しい」と語られていた江戸時代の生活というのは現代と同じ、いやそれ以上に「ホンネとタテマエ」の世界です。行方不明な罪人と会っている家族、外泊しちゃいけないのに「朝帰り」しまくっていたり、持ち出しNGの「公事方御定書」をどこかから借りて写本している吟右衛門。そもそも当事者でもないのにわざわざ江戸に出向かされ、判決後に大金を払わされても「しかるべき」とでも考えている所などにおもしろさを感じました。

現代に生きる我々だって信号無視したり、未成年の時に酒を飲んだり(おっと!!)しているわけです。こんなことを書くとお咎めを食らいそうですが、お咎めを食らわす側とて例えば神社の初詣で神社の方に「無礼講だ~」と、またはひなまつりの季節におばあちゃんにで「甘酒でも飲みんしゃい~」と言われ飲んだ経験はない!と言い切れるのであろうか。おっとそもそも彼らだって不正をしているではないか!

巨人軍の二岡選手とタレントの山本モナ氏の話題でメディアは盛り上がってますが、同じことを江戸時代でしても山本モナ氏は私の「妾(正妻のほかに養って愛する女)」である、とでも二岡選手が言えばなんの沙汰もないでしょう。時代や地域によって価値観は変わります。人気のO教授の言う「我々は色眼鏡を通してモノを見ている」 という事実を認識し、自分の中で事象を整理し情報を取捨選択する、という作業が必要なのです。例えば「十字軍」の存在について、キリスト教徒から見れば味方、イスラム教徒から見れば敵と言えますが、それはその時代に生きた全ての人においてそう言えるとは限りません。共存しちゃった人達もいたようです。

本書は現代から過去の生活を文字を通して投影して我々にリアリティのある形で提示しています。それは退屈でもあり緻密でもあり、おもしろくもあり、強引でもあり・・・、様々な形でもって見せてくれます。

りとぅんばい まっすー

投稿者 学生
2008年07月13日14:44 [発表者 コメント] | コメント (2) | トラックバック (0)

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コメント

「本音と建前」って何だか好きです。
お互いの本音を知りつつも、あえて相手の建前を尊重したり、白々しく言葉遊びをしてみたり…というのに大変燃えます。
何が言いたいかっていうと、それくらい洒落た会話が出来るようになりたいですよね(遠)


よく出てくるロシア人の「規則は破るためにあるんだ!」って言い分があるけど、あながち間違っているとも言えないような。人によっては、一番の楽しみが法律で規制されちゃう場合もあるかもしれないわけで。そしたらその人はどうするんだろう!もしかしたら中毒性が高くて人間がド嵌りしやすいもの程、規制が敷かれる場合もあるのかな…なんて。
人様に迷惑にならない程度にはみ出るならかわいいものでしょ?いや、犯罪はいけませんが…全てが規則通りなんて、つまらないですよね?あ、でも日本人ってわりかしキチキチに見えるんでしょうかね。
ここでは何が言いたいかというと、ちょっと見てみたいモノが規制の関係で入手困難なんですね。あーん。

投稿者 匿名にしよう : 2008年07月14日 17:44


人間らしさを表す言葉だなぁーと思います。「本音と建前」がない世界は芥川の『河童』の世界と同じですからね((( ;゚Д゚)))

人間を虜にするものほど、クスリだったりピンクな映像だったりは規制が厳しいですよね。でもそうやって規制されているものがこの世から消えないのは人が欲しがってるものだからであったり。欲と法、自由と形式はいつの世も対立しちゃうのでしょうか。

投稿者 まっすー : 2008年07月17日 13:40


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