2008年1月15日

サンタクロースと東方の三博士との間でコンフリクト?


渡邊千秋(教員)
アルカラ・デ・エナーレス大学
在外研究中

 在外研究に入って4ヶ月になろうとしています。最初の2ヶ月は住居探しから始まって、滞在を安定させるための雑事に追われていましたが、最近になってやっと、落ち着いて周りを見る心の余裕が生まれたような気がしています。さて、そこで今日は、12月から1月にかけての「イベント」、降誕祭のスペインを描いてみようと思い立ちました。

 12月24日から1月6日にかけて、この国ではイエズス・キリストの誕生を祈念する日々、降誕祭が祝われます。ところで、EU域内のヒトの移動によってプロテスタント諸宗派の人々の姿が見られるようになり、またマグレブ地域からやってきた、イスラム教の信仰を持つ移民が増加しているとはいえ、やはりスペインは現在でもローマ・カトリック教の習慣を強く残す国だといえます。国や自治州の定める祝日もカトリックの暦から引いてきたものがとても多いのです。(自治州によって多少の差はあります。)その意味では、ここスペインでは、人々の生活空間は、無意識のうちに宗教的な影響を受けてしまっているのかもしれません。例えば、私がよく行く国立図書館も、法の定めるところに従って祝日は閉まりますから、クリスマスの12月24・25日は当然お休みですし、公現祭(エピファニー)の当日、6日だけではなく、その前後、5日と7日もお休みでした。(私はぼーっとしていて、7日にもう少しのところでのこのこ出かけていくところでした。)

 また、ここが「カトリックっぽい」と思われるのですが、東方の三博士が贈り物をもって生まれたばかりの赤ちゃんイエズス・キリストを訪れたのにならって、スペインの子供たちの大多数は、1月6日の公現祭で贈り物をもらうのが習慣になっています。

 ではスペインにはサンタクロースは来ないのか?といえばそうでもないというのが不思議なところです。私の住む住居のちょうど向かい側のご家庭では、23日の昼ごろにサンタクロースが現れました。等身大のお人形がちょうど山登りをするような格好で、私の側に背を向けて、窓に取り付けられたのです。きっとお子さんがいらして、そのために飾ったのだろう、と考え、ほほえましいような気分になったのもつかの間…周りを見回してみれば、TVコマーシャルでもサンタクロースがたくさん出てきますし、似たようなお人形は私が見過ごしていただけで、街のあちこちに飾られているのです。「サンタクロースが子供にプレゼントを届けるとすれば、『伝統的な』東方の三博士はどうなるんだろう?」素朴な疑問がわき、結果を見届けてから、この稿を仕上げることにしました。

 さて、6日、ニュースでは、全国で家族が子供に贈り物をする姿が放映され、伝統的な習慣がいまだ存在感をもつことがわかりました。実は、私が以前に長期で滞在した一昔ちょっと前には、サンタクロースの存在感はこんなに強くなかったのです。数人の友人に確かめましたが、やはりこの4・5年くらいで大きく変わったのだ、といっていました。またその友人のうちママになっている3人に聞いてみたところ、自分とパートナーは公現祭に贈り物をする、と、きっぱりと、まったく同じコメントが返ってきました。ただそこにはちょっとしたニュアンスがあって、おじいちゃん・おばあちゃんが既にクリスマスに子供にプレゼントしてくれている、というコメントもまったく同じ。

 日々、世俗化の進んでいく社会では、降誕祭の宗教的意義は直接的には薄れているのかもしれません。しかしながら、ニュースに現れた三博士は、一時退院のできない子どもたちがいる小児病棟にでかけ、大歓迎を受けていましたし、その様子を遠巻きにみている看護婦さんの目には涙が光っていました。こういう状況を眺めたあとだと、人は、冬の寒さに耐えながら馬小屋で赤ちゃんが生まれる、って大変だったろうなあ、と、ちょっぴり想像の翼を羽ばたかせることができるのかもしれません。実のところ、公現祭は、私たちの周りの、でもインビジブルな…普段の忙しさの中では目に入っていなかった「小さきもの」の存在に気づきを与えてくれる日。そしてまた、公現祭の機会にだけではなく、普段から、たくさんの、外見はまったく三博士っぽくない普通の人たちが、いろいろなところでこの世の「小さきもの」に身を奉げているのだという事実に気づかされる日。そんななかで、私はといえば、それじゃあお前は何をするのだ、という問いかけを受けている気がしています。答えは…なかなかでませんけれど。




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Posted by sipec at 07:46 | Comments (0) | TrackBack (0)

2006年12月 8日

街全体がキャンパス! 粋なバーもあるサラマンカ大学


浦山泰之(国際政治学科4年)
スペイン サラマンカ大学
法学部政治学科 交換留学中

「ハァー、何言ってんだかわかんねーよ、ん? あ、アルゼンチン人なんだ!あの先生。ドウリで聞き慣れないスペイン語なわけだ。」こんな話を友人と交わしながら毎日が過ぎて行く。場所はスペインのサラマンカというマドリードから3時間ほどバスで北西に行ったところにある小さな大学都市。日本との交換留学で来年の6月までお世話になる予定である。

大学で僕が所属しているのは法学部の政治学科。毎日は楽しい。授業がわからない時を除いて。スペインで政治というとあまりピンと来ない方が多いかもしれないが、それなりにメリットというのはあって、授業内容が日本のソレとはかなり異なる。スペインという国の地理的、歴史的観点によりヨーロッパに的を絞った授業や中南米に関する授業が非常に豊富だ。元々中南米の文化、歴史に興味があった自分としては相当恵まれた環境である。問題は、やはり語学力。こればっかりは辛抱強く勉強して行くしか上達の道はない。「これはどうしてだと思う?」、教授が学生に問う。学生が答える「○○○○」、「うん、そうだね」。ちょい待った!もう一回お願いできる?と聞けるはずもなく授業は僕をおいて次のテーマへ。これが一番ストレスの溜まるパターンだ。とまあ嘆いていてもしょうがない。なんとかやって行こうと今日もまた本を広げる。

サラマンカの生活は非常におもしろい。街は完璧な大学都市で、大学がこの街の中心と行ってもちっとも過言ではない。街中にキャンパスが点在し、授業の度に街を横断したりしなくてはいけない。日本によくある校門をくぐってそこにあらゆる学部棟が詰まっている印象とは少々異なる。とにかく、街全体がキャンパスなのである。そこまで大学と街が融合するとその境というのも非常に曖昧になってくる。あらゆるキャンパスがそれぞれにバル(バー)を備え、そこにはもちろんビールからラム酒(美味)からすべてそろっている。学生に混じっておっちゃんが新聞を広げているし、バルの主人はチョビ髭なんか生やしてすっかり貫禄が付いている。キャンパス内で酒を飲んだら退学の我が悲しき(?)大学とは相当趣が異なる。他にも通学路にあるスペイン一美しいといわれる広場、荘厳なカテドラルなどは一見の価値ありだ。今はこの些か現実離れした生活を楽しみながら、毎日をどうやって充実させてやろうか、と意気込んでいるところである。




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Posted by sipec at 11:30 | Comments (0) | TrackBack (0)

2006年6月 7日

スペイン便り


Sayo(国際政治学科4年)
UNIVERSIDAD DE ALCALA; ALCALINGUA
(アルカラ大学)留学中

こんにちは。私は3月からスペインに留学中です。まだまだ留学生活は始まったばかりという感じですが、スペインについて少しみなさんに紹介したいと思います。

日本はそろそろ梅雨入りの季節でしょうか?スペインはもうしっかり夏に入り、連日40度を超える暑さが続いています。いくら乾燥しているといってもやっぱり暑いです。スペインには午後の2時から5時くらいまでSiesta(シエスタ)というお昼寝の時間があり、この時間帯はスーパーもお店も全部閉まります。最初は、午後の活動的な時間を休んでいるなんてナマケモノめ…と思っていましたが、夏のこの時間帯に外を出歩くのはなかなか大変です。シエスタの存在意義はしっかりありました。(でも夏以外はいらないのでは…。)

スペインはキリスト教国で、国民の多くがカトリック信者です。そのため、イースターの前の1週間(Semana Santa聖週間)にはスペイン各地で行事が行われます。荘厳な雰囲気の中、重々しい音楽とともにキリストや聖母マリアの像を乗せた山車が町の中をまわり、その前を覆面をかぶった人達が大きな蝋燭や十字架を担いで歩きます。日本にはない伝統なので、イースターの時期にスペインに行かれる方がいらっしゃったら是非見に行ってみて下さい。Sevillaという町のSemana Santaはとても有名です。

スペインには歴史を感じられるような古い建物や街がたくさん残っています。先日、学校が休みの日を使ってトレドというスペインの古都に行ってきました。スペインは8世紀から15世紀にかけてイスラム勢力に支配されていたという歴史を持っているため、色々なところにイスラム文化の名残を感じることができます。キリスト教文化とイスラム教文化が融合したものをムデハル文化と言うのですが、トレドではこのムデハル様式の建築物をたくさん見ることが出来ます。イスラム文化とキリスト教文化の融合はスペイン独特の文化であり、ほかではなかなか見ることは出来ないのではないかと思います。ちなみにこのトレドという街、ジブリ映画『魔女の宅急便』のモデルになった町でもあります。

スペイン人は全体的にのんびりしています。セカセカ働いている人もいないことはないですが少ないと思います。日曜日、日本ではお買い物をしたり友達と出かけたりしますよね。でもスペインでは日曜日はしっかりお休みなんです。日曜日なんてものすごい稼ぎ時のように思えるのですが、ショッピングモールもどこも全部お休みです。町の中心にある広場に出かけても、日曜日のお昼前はほとんど人通りもないくらいです。家でのんびり過ごすのが鉄則のようですね。でもこんなにのんびりしているのに、何故かみんな信号だけは待ちません。歩行者信号はあってないようなものです。子供から大人からおじいちゃんおばあちゃんまで、絶対青になるまで待つ人はいません。信号待ちしてると不思議な目で見られます。

スペインに2ヶ月半滞在して思うことはたくさんありますが、今回はこの辺で終わりにしておきます。この手紙でスペインの魅力が少しでもみなさんに伝わることを願っています。
ではまた。




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Posted by sipec at 11:43 | Comments (0) | TrackBack (0)
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